大手携帯キャリアのメインブランドと比べて毎月のスマホ料金が安い、オンラインプランやMVNOの格安SIM。料金が安いのはうれしいが、通信速度も気になるところ。実際はどうなのかを探るべく実施している人気回線の通信速度調査。2024年9月5日・9日に行った今回は、スピードテストの平均速度とアプリダウンロード速度が前回からほぼ横ばいで推移する結果となった。
1.【はじめに】通信速度の調査方法
スマートフォンの通信速度は時間帯や場所によって変化する。たとえば、休憩時間にあたる平日昼の12時台や、プライベートでの通信が増える夕方から深夜、都市部のターミナル駅周辺のように人口が極端に集中する場所においては、通信が混雑して回線速度が低下しやすい。ただ、その度合いは通信会社ごとに異なっており、重要な比較要素のひとつと言える。
本調査では、人口密度の高い地域に東京都千代田区の東京駅周辺、対照となる低い地域に長野県佐久市の佐久平駅周辺を選定。通信が集中する12時台と18時台、そして比較的通信が少ない14時台において、合計10回線の通信速度を調査している。
今回の調査日は東京駅周辺が2024年9月5日(木)、佐久平駅周辺が9月9日(月)。測定にはモトローラの「moto g50 5G」を用いた。
調査方法は以下のように「Googleのインターネット速度テスト」と「Playストアからのアプリダウンロード」の2通りを実施した。
【調査方法1】
端末のブラウザー(Chrome)でGoogleが提供しているインターネット速度テストを使用し、各地点・各時間帯で3回測定した上り/下り通信速度の平均値を算出した。
【調査方法2】
実際の体感速度に近い状況として、アプリのダウンロード時における通信速度を測定。「通信速度モニター」(Lufesu
Inc.)による通信速度を表示した状態でPlayストアからアプリをダウンロードし、その間の速度推移を「moto g50
5G」の動画スクリーンショット機能で記録。測定終了後に動画を確認し、ダウンロード中の下り平均速度を算出した。限られた時間内で測定を行うために、開始から1分が経過した時点でもアプリのダウンロードが終わらない場合はインストールを中断し、その時点までの平均速度を求めている。
調査対象の回線は以下のとおりだ。本調査はこれまで大手キャリアのサブブランドおよびMVNOの格安SIMを対象に実施してきたが、2023年4月から対象回線を刷新し、大手キャリアのオンラインプランと楽天モバイル、サブブランド、MVNOから合計10回線を選択した。すべて5Gネットワークを利用できる状態で調査を行っている。
2.速度が遅くなりやすい昼休み、12時台の測定結果は?
調査結果を詳しく見ていこう。まずは休憩中のユーザーが利用することで混雑しやすい12時台の結果からだ。
12時台の測定結果の平均値(東京駅周辺:2024年9月5日、佐久平駅周辺:2024年9月9日実施。単位はMbps、以下同様)
12時台の地点別の測定結果(左:東京駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は下りが57.67Mbps(前回は64.41Mbps)、上りが13.40Mbps(同13.03Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はpovoが159.15Mbpsで最も速く、UQ mobileが151.73Mbps、ワイモバイルが129.28Mbpsと続いた。上り通信速度はワイモバイルが29.82Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が26.08Mbps(同27.14Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルが53.92Mbpsで最も速く、UQ mobileが51.93Mbps、povoが51.37Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(12時台)
1位 povo:159.15Mbps
2位 UQ mobile:151.73Mbps
3位 ワイモバイル:129.28Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台)
1位 ワイモバイル:53.92Mbps
2位 UQ mobile:51.93Mbps
3位 povo:51.37Mbps
3.比較的速度が期待できる14時台の測定結果は?
次は休憩時間が明けてスマートフォンの利用も落ち着き、速度も回復してくる14時台の結果を見てみよう。
14時台の測定結果の平均(東京駅周辺:2024年9月5日、佐久平駅周辺:2024年9月9日実施)
14時台の地点別の測定結果(左:東京駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は、下りが66.96Mbps(前回は67.67Mbps)、上りが14.85Mbps(同15.79Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はUQ mobileが151.20Mbpsで最も速く、ワイモバイルが144.38Mbps、LINEMOが139.05Mbpsと続いた。上り通信速度はワイモバイルが33.87Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が32.49Mbps(同35.36Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルが58.40Mbpsで最も速く、LINEMOが50.89Mbps、povoが49.12Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(14時台)
1位 UQ mobile:151.20Mbps
2位 ワイモバイル:144.38Mbps
3位 LINEMO:139.05Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台)
1位 ワイモバイル:58.40Mbps
2位 LINEMO:50.89Mbps
3位 povo:49.12Mbps
4.帰宅時間帯の18時台の測定結果は?
最後は、会社や学校が終わり再び通信が混雑し始める18時台の結果だ。
18時台の測定結果の平均(東京駅周辺:2024年9月5日、佐久平駅周辺:2024年9月9日実施)
18時台の地点別の測定結果(左:東京駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は下りが54.80Mbps(前回は51.40Mbps)、上りが13.39Mbps(同10.84Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はLINEMOが120.54Mbpsで最も速く、povoが109.30Mbps、UQ mobileが96.47Mbpsと続いた。上り通信速度はpovoが18.95Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が23.55Mbps(同22.09Mbps)だ。回線別に見てみると、LINEMOが41.54Mbpsで最も速く、ワイモバイルが33.40Mbps、povoが30.83Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(18時台)
1位 LINEMO:120.54Mbps
2位 povo:109.30Mbps
3位 UQ mobile:96.47Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台)
1位 LINEMO:41.54Mbps
2位 ワイモバイル:33.40Mbps
3位 povo:30.83Mbps
5.すべての時間帯における総合結果は?
それでは、すべての時間帯における平均速度をもとにランキングを求めてみよう。参考として前回(2024年8月)と前々回(2024年7月)の調査結果も併記する。まずはスピードテストの下り通信速度からだ。
スピードテストの下り通信速度ランキング
今回の1位はUQ mobileで133.13Mbps(前回は109.33Mbps)、2位はpovoで132.91Mbps(同121.50Mbps)、3位はLINEMOで121.93Mbps(同137.59Mbps)だ。10回線全体の平均速度は59.81Mbps(同61.16Mbps)だった。
次は、スピードテストの上り通信速度の結果だ。
スピードテストの上り通信速度ランキング
今回の1位はワイモバイルで27.38Mbps(前回は22.43Mbps)、2位はLINEMOで23.12Mbps(同22.60Mbps)、3位はUQ mobileで17.57Mbps(同18.39Mbps)だ。10回線全体の平均速度は13.88Mbps(同13.22Mbps)だった。
最後はPlayストアからのアプリダウンロード速度の結果だ。
アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング
今回の1位はワイモバイルで48.57Mbps(前回は51.88Mbps)、2位はLINEMOで46.80Mbps(同52.52Mbps)、3位はpovoで43.77Mbps(同39.42Mbps)だ。10回線全体の平均速度は27.37Mbps(同28.20Mbps)だった。
6.【さいごに】今回の結果まとめ
今回2024年9月の調査では、前回2024年8月と比べてスピードテストの上り平均速度がスピードアップしたいっぽうで、スピードテストの下り平均速度とPlayストアからのアプリダウンロード速度はスピードダウンした。いずれも5%以内の変化であり、前回からほぼ横ばいだったと言えそうだ。
過去数か月を振り返ってみると、実際の利用環境の一例として調査しているアプリダウンロード速度は2024年5月以降概ねスピードアップする傾向が見られる。今回は前回よりもややスピードダウンしたものの、前々回2024年6月に比べればまだ速く、スピードアップの傾向は続いているものと考えられる。
10回線全体の平均速度推移(2023年9月~2024年9月)
次回の調査は2024年10月上旬~中旬の実施を予定している。アップルの「iPhone 16」シリーズ発売後最初の通信速度がどのように変化するのか、引き続き注目したい。
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