2024年9月17日、モトローラより最新の折りたたみスマホ「motorola razr 50」「motorola razr 50s」が登場。前世代のモデルよりも大きなアウトディスプレイを搭載したことで、たたんだままでの操作性が格段に向上している。そんなコンパクトスマホの最速レビューをお届けする。
「motorola razr 50」の公式サイト販売価格135,800円(税込、以下同)、「motorola razr 50s」のソフトバンク直販サイトでの販売価格115,200円、ともに2024年9月27日発売
折りたたみスマホ向けSoCを搭載
2023年に登場したモトローラの「razr 40」シリーズに続く、折りたたみスマホの最新モデル「motorola razr 50/50s」が発表された。「razr 50」がメモリー12GB/ストレージ512GBの一般流通モデルとして販売されるのに対し、「razr 50s」はメモリー8GB/ストレージ256GBで、キャリアはSoftBankのみでの取り扱いとなる。販売価格を除く、そのほかのスペックはすべて両モデルでの共通となる。
「razr 50」のOSはAndroid14。SoCには、ミドルクラスの折りたたみスマホ向けに開発されたメディアテック「Dimensity 7300X」を搭載。デュアルディスプレイのサポートを前提とした設計になっており、後ほど紹介するアウトディスプレイの自由度を生む大きな要因となっている。
オープン時のサイズは、73.99(幅)×171.30(高さ)×7.25(厚さ、最薄部)mm
本体下部にしっとりとした質感のヴィーガンレザーを使用。カラーは、写真の「コアラグレイ」のほか、「サンドクリーム」、「スプリッツオレンジ」の3色を用意
折りたたみ時のサイズは、73.99(幅)×88.08(高さ)mm
折りたたみ時の厚さは15.85mm(最薄部)と薄い。重量は約188g
「razr 50」のメインディスプレイは、約6.9インチの柔軟性のある有機ELディスプレイ(pOLED)を搭載。解像度はフルHD+(2,640×1,080)で、リフレッシュレートは最大120Hz。「DCI-P3色域」に対応しており、鮮やかで豊かな色表現を可能にしている。
メインディスプレイの比率は22:9と縦に長い
アウトディスプレイは、約3.6インチの有機ELディスプレイ (pOLED)。解像度は1,056×1,066で、リフレッシュレートは最大90Hz。ディスプレイには「Gorilla Glass Victus」が採用されており、高い耐傷性を備える。ディスプレイが常に露出しているので、傷に強いのはありがたい。ホーム画面から、左右へのスワイプ操作で、アプリ一覧、指定したアプリ画面への切り替えが可能だ。
アウトディスプレイのホーム画面は、中央にアプリ、左下から通知が確認できる
「razr 50」の外部インターフェイスはUSB Type-Cポートが1つ。NFCと「おサイフケータイ」に対応する。防水性能はIPX8に準拠し、防水性能は担保されつつも、防塵性能が弱点と言えるだろう。また、カードトレイに収まるnanoSIMカードは1枚で、eSIMを組み合わせることで、デュアルSIM運用にも対応できる。
カードトレイに収められるのはnanoSIMカード1枚のみ。microSDカードには対応していない
バッテリーを本体の片面に1個ずつ搭載しており、2台合わせた容量は4200mAhとなる。1日は問題なく持続してくれ、使い方によっては2日間の使用も可能だろう。30Wの急速充電「Turbo Power」に対応しているので、気づいたときにサクッと充電すれば、バッテリー切れの心配は少ない。参考までに、「Amazonプライム・ビデオ」で2時間の映画を視聴したところ、バッテリーの消費量は7%であった。もし10時間動画を視聴したとしても、単純計算で35%のバッテリー消費に収まる。バッテリー持ちは非常に良好と言える。
自由度の高いアウトディスプレイ
一世代前のモデルである「razr 40」のアウトディスプレイは1.5インチで、ウィジェット1つ分程度しかない大きさだったのに対し、今回の「razr 50」は、3.6インチの大きなアウトディスプレイを新たに搭載した。これにより、スマホを折りたたんだまま、アウトディスプレイ上でも、メインディスプレイに近いUIでアプリを表示、操作することが可能となった。
アウトディスプレイのアプリ一覧画面には、好きなアプリを配置できる
アウトディスプレイに配置できるアプリは、スマホにインストールされているすべてのアプリが対象となっているので、基本的にはどのアプリでもアウトディスプレイからアクセスすることが可能だ。ただし、すべてのアプリで最適化されているわけではない。そこで、筆者がよく使うアプリの見え方をチェックしてみよう。
「LINE」でのチャット画面。文字入力時はキーボード画面に切り替わるが、音声入力がスムーズだった
「YouTube」は、有機ELディスプレイらしく鮮やかでクッキリ
折りたたんだままで「PayPay」を使えるのはとても便利
地図の表示サイズは小さいが「Googleマップ」もサッと確認できる
折りたたみならではの気になるポイント
ここからは、「razr 50」の折りたたみスマホならではの気になるポイントをチェックしてみよう。まずはメインディスプレイの折り目だ。画面の消灯時に折り目は見えるが、スマホを操作しているときは、まったく気にならなかった。動画の視聴やゲームのプレイでもまったく問題ないレベルと言えるだろう。
ディスプレイ中央に折り目はあるが、気にならない程度の凹凸だ
動画閲覧中などコンテンツを表示している際は、折り目がより気にならなくなる
「razr 50」は、折りたたみスマホならではのさまざまな使い方ができるように、無段階調節が可能なヒンジを採用している。
“くの字”に曲げた状態でアウトディスプレイを使う「スタンド」置きは、動画閲覧に適している。スマホスタンドやリングなどを使わず、手離しでスマホ画面が見られるのは、とても便利だ。また、自撮りや動画撮影でも手ブレのない撮影が可能となる。
「スタンド」置きは、動画閲覧に適している
手のひらを向けるだけでシャッターが切れる「ジェスチャー自撮り」機能とも相性がよい
ヒンジを上に向けた「テント」スタイルは、音楽再生におすすめだ。本体下部にあるスピーカーから出た再生音が、接地面に反響して素のままの音よりも立体的な音に聞こえる。
ちなみに、「razr 50」は「Dolby Atmos」と空間オーディオに対応しているので、イヤホンを使用すれば、より立体感のある空間オーディオも存分に味わえるだろう。
「テント」スタイルで「Spotify」の音楽を再生中。音楽プレーヤーのスキンを変更することで、写真のようなおしゃれなUIやCDジャケットの表示も可能
ヒンジは、「razr 50」のために新しく開発されたヒンジパーツを使用。無段階調節が可能なうえ、完全に開いた状態と閉じた状態では、しっかりと固定され、使用中に角度が変わってしまったり、閉じたはずが少し開いてしまったりすることはなかった。
試しに、ヒンジの保持力をチェックするために、負荷のかかる持ち方をしてみたが、ヒンジの保持力はきわめて優秀で、勝手に角度が変わることはなかった。現時点でチェックはできないが、折り目の耐久性も向上しているとのことだ。
スマホを完全に開いた状態で、本体のつかんでみたが、開いた状態をしっかりキープできた
中途半端な角度で持っても、折りたたみの角度が勝手に変わることはなかった
ヒンジへのゴミや塵の混入は、折りたたみスマホの弱点であるが、防塵ボディはサポートされていない。ボディ形状などで、混入しづらいように工夫はされていると思うが、防塵意識は高く持っていた方がよさそうだ。
ヒンジへの塵の混入は故障の原因となりやすいため、注意して持ち歩きたい
SoCの性能はミドル~ミドルハイクラス
ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン10.3.X)」でテストしたところ、総合スコアは685225となり、これはミドルからミドルハイクラスの中間に当たる。約13.5万円という価格を考慮すると、もう少し高い性能を求めたくなるが、折りたたみスマホで約13.5万円は比較的安価な部類に入る。たとえば、ハイエンド向けSoCを搭載する折りたたみスマホ「Galaxy Flip6」はドコモの一括支払いで175,560円。つまり、「razr 50」は低価格化のためにSoCをコストカットしたというわけだ。
総合スコアは685225。GPUスコアが148943
ただし、「razr 50」でもスマホに求められる基本的な操作はスムーズに行える。ゲームに関しては、試しに「原神」をプレイしてみたところ、デフォルトの画質設定が「最低」になっていた。「最低」画質では画が荒い印象だったので、「低」に上げたかったがデバイス負荷が高いようで推奨はされないようだ。極端に負荷の重たいゲームや映像の滑らかさを追い求めなければ、ゲームプレイは問題なく楽しめるだろう。
通常どおりにプレイする分には問題なく楽しめる
カメラは発色がよく鮮やかな写り
「razr 50」のアウトディスプレイ側に設置されたメインカメラは、5000万画素、F1.7で光学式手ブレ補正(OIS)を搭載。すべてのピクセルでオートフォーカスを行う「PDAF」に対応していることで、動くものでも高いオートフォーカス性能に期待できる。さらに、4枚のピクセルを合わせることで、暗い場所での低ノイズ性能を高める「クアッドピクセル」にも対応する。
加えて、マクロ撮影に対応する1300万画素、F2.2の超広角カメラを搭載。インカメラは、約3200万画素で、F2.4。こちらもクアッドピクセルに対応する。
テスト撮影を行った印象としては、彩度が高く鮮やかでコントラストの高い写真が撮れる。手ブレ補正が優秀で、ラフに構えて撮影しても、手ブレが気になることは少なかった。
鮮やかでハイコントラストな1枚(メインカメラ:1倍)
4倍ズームで撮影してみたが、そこまで粗さは目立たない(メインカメラ:デジタルズーム4倍)
最大10倍ズームだと、さすがに粗い印象だ(メインカメラ:デジタルズーム10倍)
超広角ならではのワイドな1枚(サブカメラ:超広角1倍)
花も葉も彩度が高く、コントラストが高い(サブカメラ:マクロ1倍)
マクロ撮影は最短距離2.5cmでの接写が可能(サブカメラ:マクロ1倍)
「ナイトビジョン」を使えば夜景もバッチリきれいに撮れた(メインカメラ:1倍)
動画は、アウトカメラ(メイン、超広角、マクロ)とインカメラ共通で、最大4K/30FPS
で撮影可能。また、AIを活用した2つのユニークな手ブレ補正機能が搭載されている。
1つ目の「適応型手ブレ補正」は、メインの被写体を中央に配置し続けるように、自動で画角の補正をしてくれるというもの。2つ目の「水平ロック」は、被写体を中心に水平をキープし続けてくれる。たとえば、撮影しながらカメラ本体を回転させても、録画映像は、回転しておらず水平を保ったままという機能だ。
また、動画撮影時に、「razr 50」の本体を曲げてビデオカメラのように構えると、「カムコーダーモード」が起動。録画が自動でスタートし、ハンディビデオカメラ気分で動画撮影が楽しめる。その際、持ち手側のディスプレイでタッチとジェスチャー操作による録画の開始/停止、ズーム調節が可能となる。
片手で持ってハンディカメラのように撮影が可能。より安定した動画が撮れる
折りたたみならではの楽しみが満載
ストレートタイプのスマホに代わる次世代スタイルの中心となりそうな折りたたみスマホ。SoCの性能を抑えてコストカットしたのには、折りたたみスマホを普及させたいという狙いが見え隠れする。
「razr 50」には、折りたたみスマホならではの楽しみ方が満載だ。特にアウトディスプレイの自由度が高く、ストレートタイプのスマホにはない体験が楽しめるだろう。これまで折りたたみスマホに興味はあったが、価格が理由で踏み切れなかった人こそ試していただきたい。
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