スマートフォンやモバイル通信とお金にまつわる話題を解説していく「スマホとおカネの気になるハナシ」。今回の話題は、ずばり“「iPhone 16」シリーズの買いかた”。販路ごとの価格差や端末購入プログラム、最注目のAI機能「Apple Intelligence」の動向も考慮して、“いつ・どこで”買うのがよいかに迫った。
※本記事中の価格は税込で統一している。
AIの強化と操作性の改良が「iPhone 16」シリーズの魅力
毎年秋に発売されるアップルの新しいiPhoneだが、今年も2024年9月20日に、「iPhone 16」シリーズが発売された。「iPhone 16」シリーズは新しいチップセットの搭載による性能強化に加え、インターフェイスにも新たな変更が加えられるなど、魅力が高められている。
ただいっぽうで、「iPhone 16」シリーズ最大の魅力でもあるAI技術「Apple Intelligence」を活用した機能が、日本語では2025年にならないと利用できない弱点が存在する。それだけに、新しい「iPhone」を購入すべきかどうか、購入するとしてもいつか、悩んでいる人も多いだろう。そもそも、実際「iPhone 16」シリーズは“買い”なのだろうか?
「iPhone 16」シリーズ最大の特徴は、アップルが力を入れるAI技術「Apple Intelligence」なのだが、それを日本語で利用できるのは2025年と、かなり先になる
まず「iPhone 16」シリーズについて簡単に振り返ると、従来同様にスタンダードモデルの2機種「iPhone 16」と「iPhone 16 Plus」、より性能が高い「Pro」モデルの2機種「iPhone 16 Pro」と「iPhone 16 Pro Max」、合計4機種が提供される。
スタンダードモデルと「Pro」モデルの主な違いのひとつがカメラの性能で、前者が広角・超広角の2眼構成、後者が光学5倍相当の望遠カメラを加えた3眼構成となっている。チップセットにも違いがあり、スタンダードモデル2機種が「Apple Intelligence」対応の「A18」、Proモデル2機種はそれを強化した「A18 Pro」を搭載している。また、ボディ素材もチタニウムを採用しているのは「Pro」モデルのみなので、性能やデザインに重点を置くならば「Pro」モデルを選ぶべきだ。ただし、スタンダードモデルでも十分な性能を持つことは間違いない。
新UIは4機種すべてが対応。「Pro」と「Pro Max」のカメラ仕様は共通に
インターフェイスでもいくつかの変更が加えられた。4機種すべてにカメラのシャッターやズームなどの操作に活用できるタッチ式のセンサー「カメラコントロール」を搭載。加えて、スタンダードモデルにも、「iPhone 15 Pro」シリーズで採用されたプッシュ式ボタン「アクションボタン」が搭載されるようになった。
カメラのシャッターや、ズーム・絞りなどの制御に活用できる「カメラコントロール」は、「iPhone 16」シリーズ4機種すべてに搭載されている
そのいっぽうで、「iPhone 16」と「iPhone 16 Plus」、そして「iPhone 16 Pro」と「iPhone 16 Pro Max」間の大きな違いはディスプレイサイズとバッテリー容量くらいにとどめられている。また、「iPhone 15 Pro」と「iPhone 15 Pro Max」に存在した望遠カメラ性能の違いが解消され、「カメラ性能目当てで仕方なく大画面モデルを選ぶ」必要がなくなった。これは、コンパクトサイズの端末が好きな人にはうれしいポイントだ。
従来画面サイズによってカメラ性能に違いがあった「Pro」モデルも、「iPhone 16 Pro」と「iPhone 16 Pro Max」では望遠カメラが光学5倍相当に統一され、違いがなくなっている
日本語版「Apple Intelligence」登場まで様子見?
先にも触れたが最大の特徴でもある「Apple Intelligence」は、日本語で利用できるのが来年2025年になってしまう。それだけに悩ましいのは、既存のiPhoneユーザーが「iPhone 16」シリーズに買い替えるべきか? だろう。
「Apple Intelligence」を軸にすると、「iPhone 15」シリーズがあれば、「iPhone 16」シリーズに買い替えるメリットはそれほど多いとは言えない。とりわけ「iPhone 15 Pro」と「iPhone 15 Pro Max」が採用するチップセット「A17 Pro」は、「Apple Intelligence」に対応しているだけに、買い替えるメリットはさらに減少する。
また、スタンダードモデルの「iPhone 15」や「iPhone 15 Plus」からの買い替えでは、チップセットの性能向上やカメラコントロールの追加などは魅力だ。そのいっぽうで、カメラの性能自体に大きな違いはないし、「iPhone 15」シリーズでも基本性能はすでに十分高い。仮に買い替えるとしても、「Apple Intelligence」の登場を待ってその評判を聞いてからでも遅くなさそうだ。
「iPhone 14」シリーズ以前の機種からの買い替えなら、基本性能向上や、上記の「カメラコントロール」などのインターフェイスの進化、「iPhone 15」シリーズの特徴でもあった4800万画素に強化された広角カメラや、汎用的なUSB Type-Cに変更された充電端子などで、使い勝手の大幅な向上が見込める。端末の経年劣化が進んでいるならば、買い替えのタイミングとして悪くはなさそうだ。
在庫のあるうちに「iPhone 15 Pro」「iPhone 15 Pro Max」を狙う
ただ、現在のタイミングであれば、あえて「iPhone 15 Pro」「iPhone 15 Pro Max」を狙う手もある。なぜなら、これらは先にも触れたように「Apple Intelligence」やUSB Type-Cに対応しているなど性能は十分だからだ。実は、アップルではすでに終売しており、携帯各社のショップや量販店などで在庫処分のため大幅値引きされて販売される可能性が高い。在庫があるまでという時間との勝負だが、お得さと将来性のバランスでは一歩抜きん出ているだろう。
実は密かに狙い目なのが「iPhone 15 Pro」「iPhone 15 Pro Max」。「Apple Intelligence」に対応するうえ、在庫は限られるものの終売により店頭での大幅値引き販売が期待できる
単純な安さなら「Apple Store」の圧勝
続いて、「iPhone 16」シリーズをどこで購入すればお得なのか? も確認しておきたい。「iPhone 16」シリーズはアップルのApple Storeだけでなく、従来と同じくNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯4社からも販売される。だが、円安が続いていることから、その価格は「iPhone 15」シリーズ発売時と大きく変わっておらず、依然10万円超えが当たり前の状況だ。
それだけに安く買いたい人も多いだろうが、実は支払い方法によって「iPhone」を安く買えるところは大きく変わってくる。まず、本体の代金をすべて一括で支払う場合だが、これは「Apple Store」で購入するのが最も安い。携帯各社は「iPhone」の調達価格に利益を上乗せして販売することから、直販であるApple Storeが最も安いわけだ。なお、「iPhone 16」シリーズなら金利のかからない36回の分割払いも用意されている。
携帯各社の「端末購入プログラム」は1年か2年で機種変更するなら割安
ただ携帯各社が“本命”と位置付ける買いかたは一括払いではなく、分割払いでスマートフォンを購入し、一定期間後に返却することで安く利用できる、いわゆる“端末購入プログラム”を使ってもらうことだ。これを活用すればいずれ「iPhone」を返却する必要はあるが、実質的な支払額は大幅に抑えられる。
従来、こうした端末購入プログラムは2年後に返却することで残りの支払いが不要になるものが多かった。現在でもKDDIの「au」ブランドで展開している「スマホトクするプログラム」や、「楽天モバイル買い替え超トクプログラム」などは、そうした仕組みを採用している。
KDDIのWebサイトより。「スマホトクするプログラム」を適用して購入後、25か月目に返却した場合、146,000円の「iPhone 16(128GBモデル)」が実質57,750円で利用できる
ただ、ここ最近増えているのが、一定の料金を支払うなどして2年より早く端末を返却することで、さらに安価な料金を実現する端末購入プログラムだ。具体的にはNTTドコモの「いつでもカエドキプログラム+」や、ソフトバンクの「新トクするサポート(プレミアム)」などがそれに当たる。
ソフトバンクで新トクするサポート(プレミアム)を適用し、「iPhone 16(128GBモデル)」を購入した場合を例に解説しよう。販売価格は145,440円だがプログラムの適用で12か月目までの支払額は月当たり3円となり、19,800円の「早トクオプション利用料」を支払って13か月目に端末を返却すると、実質負担金は(3円×12か月)+19,800円=19,836円で済む計算となる。
ただし、「早トクオプション」を適用するには「あんしん保証パックサービス」の契約が必須なので、実際にはその月額料金(「iPhone 16」の場合1,450円)を加えた38,686円(1,450円×13か月+19,836円)となる。ちなみに通常の端末購入プログラムと同様、25か月目に返却する場合は、13か月目以降の月額料金が4,039円に上がるため、実質負担金は48,504円にアップする(25か月目で返却する場合、あんしん保証パックサービスの契約は必須ではないのでその料金は計算に含めていない)。
ソフトバンクのWebサイトより。「新トクするサポート(プレミアム)」を適用してiPhone 16(128GBモデル)を購入し、「早トクオプション」を適用して13か月目で返却すると実質負担金は19,836円と「あんしん保証パックサービス」13か月分の料金となる
それゆえ「iPhone 16」シリーズを1年しか使わないことを前提に購入するのであれば、NTTドコモやソフトバンクから購入したほうがお得になる可能性が高いだろう。ただ1年後に端末を手放すとなれば、その後新たな機種を購入するための費用がかかるし、機種変更にかかる手間も小さくはないので、それらも考慮したうえで適用を検討すべきだろう。
MNPのお得感が薄まっている点にも注意
また、携帯各社は、他社から番号ポータビリティで乗り換えると大幅な値引きやポイント還元などが受けられるキャンペーンを展開していることが多く、端末購入プログラムにそれらを併用することでもお得に「iPhone 16」シリーズを購入できる。ただ最近では系列の金融・決済サービスと連携して安くなる料金プランも多いので、乗り換える際にはそれらを解約することで失われるデメリットも考慮し、どちらがお得かよく考える必要があることは覚えておくべきだ。
携帯各社のサービスが複雑化・抱き合わせが進んでいるだけに、以前のように携帯電話会社を乗り換えて「iPhone 16」シリーズを安く購入しても、トータルで見ればお得にならない・手間が増えることもある。そのため、まずは契約している携帯電話会社で「iPhone 16」シリーズを購入することを検討し、「それほどお得ではない」と判断した場合に「Apple Store」で一括購入して手持ちのSIMを流用、そして他社への乗り換えを考えるのは最後の選択肢にするのがよいのではないだろうか。
Advertisement
Advertisement