旅とカメラは人生を彩るスパイスのようなもの。そして、旅とカメラは相性も抜群。旅を楽しむ、カメラを楽しむことをコンセプトに、フォトグラファーの河野鉄平(通称テッピー)が、カメラ片手に旅に出る連載企画。今回は静岡県熱海市にショートトリップしてきました!
今回の旅のお供はキヤノンのAPS-Cミラーレスカメラ「EOS R7」。レンズは明るい標準・単焦点レンズ「RF50mm F1.8 STM」をメインに使用しました。軽くてコンパクトな組み合わせです。加えて、「EOS R7」のキットレンズとしても用意されている高倍率ズームレンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」をサブで使用しました
掲載する写真作例について
写真はすべてJPEG形式(最高画質)で撮影しています。周辺光量補正:オン、歪曲収差補正:オフ、デジタルレンズオプティマイザ:標準に設定しています。
今回の旅のベストショット!
EOS R7、RF50mm F1.8 STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F8、1/200秒、+0.7EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
新旧入り混じる熱海
こんにちは、テッピーです。
今回の旅先は静岡県の最東部、伊豆半島の東に位置する熱海です。東京駅から新幹線で45分ほど。神奈川県と隣接するエリアということもあって、都心からのアクセスも良好です。この界隈は温泉街として古くから親しまれてきましたが、昨今は再開発が進み、若者や外国人観光客も多く訪れる一大観光スポットになっているようです。
JR熱海駅。駅ビルの「ラスカ熱海」はピカピカできれい。熱海は丘陵地で、駅のすぐ向こうに小高い丘が見えます
EOS R7、RF50mm F1.8
STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F4、1/1000秒、+0.7EV、ISO100、ホワイトバランス:くもり(B5、0)、ピクチャースタイル:風景
訪れたのは土曜日。駅前のロータリーはかなりの人集りでした。駅前商店街は「平和通り」と「仲見世」の2つがあり、老舗のお土産店から若者向けのオシャレなカフェまでさまざまなお店が集まっています
EOS R7、RF50mm
F1.8 STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F1.8、1/3200秒、+1EV、ISO100、ホワイトバランス:くもり(B1、M1)、ピクチャースタイル:風景
この日は午後から天気が崩れる予報だったので、まずは先にロープウェイに乗って高台の八幡山山頂を目指すことに。熱海には、日本一短いロープウェイがあるのだそうで、興味津々です。山頂から眼下に広がる熱海湾を眺めてみたいと思います。
ロープウェイ乗り場までは市内バスを利用。海沿いを進みます
EOS R7、RF50mm F1.8
STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F1.8、1/640秒、+1.0EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
バスの窓から雄大な熱海湾の海が見えます
EOS R7、RF50mm F1.8
STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F1.8、1/5000秒、+0.7EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
気軽に使える「RF50mm F1.8 STM」と「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」
今回使用した「RF50mm F1.8 STM」は、“軽い”“明るい”“リーズナブル”という三拍子揃った標準・単焦点レンズです。これをAPS-C機の「EOS R7」に装着。35mm判換算で焦点距離80mm相当の画角で利用していきます。
「RF50mm F1.8 STM」はフルサイズ対応のレンズですが、その軽量コンパクトなボディはAPS-C機にもしっくりなじみます。
「RF50mm F1.8 STM」はサイズ約69.2(最大径)×40.5(全長)mmで、重量はたったの約160g。付属でレンズフードが利用できます。「EOS R7」のサイズは約132.0(幅)×90.4(高さ)×91.7(奥行)mmで、重量は約612g(バッテリー、カードを含む)とAPS-C機としてはやや重めですが、その分「EOS R3」譲りの高速・高精度なAF機能を持ち、約30コマ/秒の高速連写(電子シャッター時)に対応するなど、非常に多機能なカメラに仕上がっています
「RF50mm F1.8 STM」には、「フォーカス/コントロール切り換えスイッチ」が搭載されています。このスイッチを「CONTROL」に合わせておくと、レンズ前面のリングをコントロールリングとして利用できます。私は今回、露出補正をこのリングに割り当てて使用しました。MFで利用したいときだけ「FOCUS」に切り替えます。この機能は非常に便利なので、ぜひうまく活用したいです
今回の旅では、APS-C用の高倍率ズームレンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」を持参しているのもポイント。「RF50mm F1.8 STM」ではカバーできない広角域や望遠域に対してこのレンズを利用しています。「EOS R7」のキットレンズとして用意されている便利ズームで、最初の1本としてもおすすめできます。
「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」のサイズは約69(最大径)×84.5(全長)mmで、重量は約310g。35mm判換算で焦点距離29~240mm相当の広い画角をカバーするのが最大の魅力です
今回の旅路ではメインのレンズを「RF50mm F1.8 STM」にしていますが、これはもちろん逆でもいいです。「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」をメインで使いつつ、浅い被写界深度で撮影を行いたい場面で「RF50mm F1.8 STM」を使うわけです。
いずれにせよ、この2本はどちらも軽量コンパクトで扱いやすい。「RF50mm F1.8 STM」と「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」は旅のスナップでは広くさまざまなシーンをカバーできる最強コンビと言えます。
ちなみに、使用した両レンズにはAFとMFを切り替えるフォーカスモードスイッチが搭載されていません。機能を切り替えたい場合はカメラ側で操作します。「EOS R7」は、グリップとマウントの間にスイッチが用意されています
バスを熱海湾で下車し、海岸沿いを「RF50mm F1.8 STM」で撮影。焦点距離80mm相当の画角は遠景も切り取りやすいです
EOS R7、RF50mm F1.8
STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F2.5、1/2000秒、+0.7EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
「RF50mm F1.8 STM」で撮影。本レンズは接写できるのも魅力。最大撮影倍率は0.25倍です。絞り開放で寄っていますが画質は良好で、収差も気になりません
EOS R7、RF50mm F1.8
STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F1.8、1/1000秒、-0.3EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
「RF50mm F1.8 STM」で海岸沿いのお店を撮影。こちらも絞り開放です。気軽にF1.8のボケ描写にチャレンジできます
EOS R7、RF50mm F1.8
STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F1.8、1/4000秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
熱海湾から少し歩いたところにアタミロープウェイがあります。3分で頂上に到着するようです
EOS R7、RF50mm F1.8
STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F2.8、1/1250秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
ロープウェイに乗りながら見上げる視点で撮影。「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」を使い広角端18mmで切り取っています。見下ろすアングルの場合は、背景に熱海湾を入れながら撮影できます
EOS
R7、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS
STM(35mm判換算29mm相当)、18mm、F7.1、1/400秒、-0.3EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」の望遠端150mmで撮影。「EOS
R7」はAFが本当にすばらしいです。高精度に被写体を検出してくれるので、迫り来る乗り物も難なく落ち着いて撮影できます。メカシャッターでも最高約15コマ/秒の連写が可能です
EOS R7、RF-S18-150mm
F3.5-6.3 IS STM、150mm(35mm判換算240mm相当)、F6.3、1/250秒、+0.3EV、ISO250、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
展望テラスに到着!
アタミロープウェイに乗って3分。あっという間に頂上に到着です。この頂上からの眺めが予想以上に美しく絶景です! いい意味で期待を裏切られてしまいました。
頂上のテラスから。天気がよくて最高でした
EOS R7、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS
STM、18mm(35mm判換算29mm相当)、F7.1、1/800秒、-0.7EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
テラスより少し外れたところから熱海湾を見下ろします。「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」の広角端で撮影しました。29mm相当の焦点距離ですが、十分ワイドに切り取れています
EOS
R7、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、18mm(35mm判換算29mm相当)、F3.5、1/800秒、+0.7EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
同じ位置から今度は望遠端の240mm相当で撮影。ヨットがしっかり見えています。高倍率ズームレンズとして焦点距離をこれだけカバーできれば旅先で出会うおおよその被写体に対応できます
EOS
R7、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、150mm(35mm判換算240mm相当)、F8、1/250秒、+0.7EV、ISO125、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
EOS R7、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、57mm(35mm判換算92mm相当)、F7.1、1/500秒、-0.3EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
「クリエイティブフィルター」の「ジオラマ風」で熱海湾を撮影。「EOS R7」は10種類の「クリエイティブフィルター」が利用できます
EOS R7、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS
STM、35mm(35mm判換算56mm相当)、クリエイティブフィルター:ジオラマ風
EOS R7、RF50mm F1.8 STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F1.8、1/2000秒、+1.0EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
EOS R7、RF50mm F1.8 STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F1.8、1/500秒、+1.0EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
頂上から見えるホテルニューアカオ。上から見ると断崖感が半端ないです。その向こうに見える島は初島です
EOS R7、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS
STM、18mm(35mm判換算29mm相当)、F4.5、1/500秒、+0.7EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
EOS R7、RF50mm F1.8 STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F1.8、1/4000秒、+0.7EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
ロープウェイで上がった八幡山山頂には熱海秘宝館や熱海城があります。熱海城は1959年に築城され、天守閣からは熱海市街や熱海湾を一望できます
EOS R7、RF50mm F1.8
STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F2、1/3200秒、+0.7EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
EOS R7、RF50mm F1.8 STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F11、1/200秒、-0.3EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光(B2、G2)、ピクチャースタイル:風景
熱海城の庭園で売っていた絶品カレーパン、美味でした!
EOS R7、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS
STM、18mm(35mm判換算29mm相当)、F3.5、1/500秒、+0.7EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
熱海市街を散策する
八幡山からの眺めを堪能した後は、再びアタミロープウェイに乗って下山。マリンビーチ周辺を歩きながら、熱海の街並みをスナップしました。熱海市街は丘陵地らしく、坂が多いのが特徴的。坂にも情緒があり、非常にフォトジェニックです。
EOS R7、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、18mm(35mm判換算29mm相当)、F11、1/250秒、-0.3EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
EOS R7、RF50mm F1.8 STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F2、1/1000秒、+0.7EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
EOS R7、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM、18mm(35mm判換算29mm相当)、クリエイティブフィルター:ラフモノクロ
ランチはアジのたたき定食をいただきました
EOS R7、RF50mm F1.8
STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F2.2、1/160秒、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
熱海は坂が多く、坂巡りをするのも楽しそう
EOS R7、RF50mm F1.8
STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F2、1/800秒、+0.7EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
EOS R7、RF50mm F1.8 STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F6.3、1/100秒、-0.3EV、ISO125、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
高台まで上がると、先ほどまでいた熱海城が見えました。熱海秘宝館もちょっと下にあって、この混在感が熱海の魅力かもしれません
EOS R7、RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS
STM、84mm(35mm判換算135mm相当)、F11、1/200秒、-0.3EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
EOS R7、RF50mm F1.8 STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F8、1/200秒、-0.3EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
夕方に戻ってきた駅前の商店街は大変な賑わいでした
EOS R7、RF50mm F1.8
STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F11、1/125秒、-0.3EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
EOS R7、RF50mm F1.8 STM、50mm(35mm判換算80mm相当)、F1.8、1/8000秒、-0.3EV、ISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:風景
旅のまとめ
今回は、安価な標準・単焦点レンズ「RF50mm F1.8 STM」をAPS-C機で使用してみましたがいかがだったでしょうか?
APS-C機では焦点距離80mm相当の中望遠域になりますが、画角に慣れてしまえば、これほど重宝する単焦点レンズはありません。フルサイズ機との併用にも最適でしょう。この旅では高倍率ズームレンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」で物足りないボケ味をしっかりカバーしてくれました。
今回は、カメラボディが「EOS R7」だったことも重要な要素です。有効約3250万画素の撮像素子を搭載しており、フルサイズ機に見劣りしない出来栄えの1台です。レンズ2 本の機動力を、最大限に引き出してくれました。
熱海はたくさんの撮影ポイントが点在する魅力的な場所でした。再開発がどんどん進みきれいなお店やホテルが立ち並ぶいっぽう、昭和感満載の雰囲気ある場所も数多く残っていて、その雑多な感じは逆に今しか味わえないのかもしれないなと、歩きながら思った次第です。熱海湾からは初島へ渡ることもできますし、近くには美術館もあります。
個人的には、ドイツ人建築家のブルーノ・タウトが設計した旧日向家熱海別邸という市指定の重要文化財の家をぜひ見てみたかったです。予約制とは知らず、今回うっかり入れなかったのですが……(建物内の写真はSNSなどへのアップは禁止のようです)。ここはまたリベンジします!
では、次回の旅でお会いしましょう!
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